訴訟を避ける傾向(イギリス)

 

皆様,こんばんは。

今日はイギリス法制度のお話です。


イギリスでは訴訟をできるだけ避けるための工夫が随所に見られたのが印象的でした。


最も実効的なのは,裁判にしてヒアリングまですると,ソリシターやバリスターに支払うコストが非常に高額になるという点だと思います(笑)。


イギリスではタイムチャージが主流ですので,証拠開示制度(ディスクロージャー)の下,ヒアリングの準備に費やす時間は膨大になり,結果,弁護士費用がかさみます。


イギリスには敗訴者負担制度がありますが,当然原告が勝てるとは限りませんから,事案によっては訴訟回避の動機にもなるでしょう。


かさんだ弁護士費用を負ければ相手の分まで負担(全てではないですが)するとなれば,冷静な判断が必要です。



また,Early Disclosureという問題もあり,簡単に説明すると,将来証拠開示の対象となるもので,それを早めに開示することが重要で,訴訟経済に資する(要するにヒアリングまで行かずに早く解決できる)というような場合は,本来の証拠開示の時期よりも前に証拠開示をすることを裁判所が当事者の申立てにより命じられるというものです。


これも,早期解決のためなら早期の証拠開示を促す点で,訴訟の長期化を避けるものです。


他にも以前書いたPart 36オファーという,例えば,和解を蹴った場合に,その和解案よりも低い額の認定を判決で受けたら,相手の弁護士費用の一定額を払わなければならないという制度も,訴訟→判決に至ることを避けるのに役立っています。


他にも,できるだけ訴訟は回避しようという実務を肌で感じました。なぜ訴訟回避をするのかは,色々あると思いますが,まず当事者の合意による解決(Amicable Settlement)がやはり重視されるべきというのが大きいと思います。


裁判は結果が読めませんし,自分の意思で決定できません。また,勝っても,最後まで争った相手方が任意に認定額を払ってくる保証もありません。裁判は膨大な時間と費用がかかります。控訴されれば,せっかく勝ってもまた裁判です。


こうした点を考慮し,イギリスでは訴訟による解決は必ずしも合理的なものとは考えず,できるだけ当事者の話し合い,和解による解決を志向します。


訴訟は,先例を作るべき,公開裁判で行い社会に働きかけるべき事案などでは適切ですが,いつも最良の解決方法ではないという理解が浸透していると感じました。


面白いものです。この考えは日本でも一定程度当てはまるでしょう。


読んで下さりありがとうございます。

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